ページの先頭です

山梨県弁護士会について

声明・総会決議

消費者庁・国民生活センター・消費者委員会の地方移転に反対する会長声明

 現在、政府は、「まち・ひと・しごと創生本部」の政府関係機関移転に関する有識者会議(以下、「有識者会議」という。)において、消費者庁・国民生活センター・消費者委員会を徳島県に移転することを検討している。
 しかしながら、消費者庁・国民生活センター・消費者委員会については、その果たすべき役割と機能に鑑みて、地方に移転する機関としては不適切であり、当会としてはこれに反対するものである。
 有識者会議は、道府県等からの提案のうち、「中央省庁と日常的に一体として業務を行う機関」や「官邸と一体となり緊急対応を行う等の政府の危機管理業務を担う機関」に係る提案、「現在地から移転した場合に機能の維持が極めて困難となる提案」については検討の対象としない方針を示している。
 消費者庁は、従前多数の省庁に分散していた消費者行政を一元化し、その推進の司令塔的役割を果たすものとして創設された組織であるから、各種施策の実施や立法・法改正にあたっては関係する府省庁との密接な連携が不可欠な機関である。また、消費者の安全に関する重大事故の発生時には、官邸及び中央省庁等と一体となり緊急対応を行うことが求められている。
 国民生活センターは、全国の消費生活相談情報を集約・分析し、消費者庁と連携して諸問題を検討して関連省庁に意見を述べ、地方消費者行政を支援し、消費者・事業者・地方自治体・各省庁に情報提供を行うという機能を有している。
 消費者委員会は、消費者庁等からの諮問事項を審議するのみならず、自ら任意の問題を調査して他省庁への建議、提言、意見等を行うという監視機能を有している。他省庁からの諮問を受ける場合も監視機能を行使する場合も、他省庁や関連事業者、事業者団体からの事業聴取や協議が必要不可欠であり、現在でも頻繁に行われている。
 さらに、消費者庁・国民生活センター・消費者委員会は、現在に至るまで長年にわたって消費者問題に携わり豊富な知識経験を有する多くの任期付き公務員、非常勤職員、審議会委員等により支えられているところ、遠隔地に移転した場合、現在と同様の人材を確保し、継続して同等の機能を維持することは極めて困難である。
 したがって、いずれの機関も有識者会議が挙げる検討の対象とならない提案に該当するものである。
 以上からすれば、消費者庁・国民生活センター・消費者委員会が地方に移転した場合、国民の生命や健康にも密接に関わる消費者行政の円滑な遂行が大きく阻害されることは明白である。
 よって、当会は、消費者庁・国民生活センター・消費者委員会の地方移転について反対する。

2016年3月12日

山梨県弁護士会
会長 
關本喜文