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山梨県弁護士会について

声明・総会決議

「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案」に反対する会長声明

 政府は、平成26年3月11日、現在3年となっている企業の派遣労働者受け入れ期間の上限廃止や専門業務の区分を廃止する、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案」(以下「労働者派遣法改正案」という。)を閣議決定し、今通常国会における成立を目指している。
 確かに、労働者派遣法改正案には、企業が同じ職場で3年を超えて派遣の継続的受け入れを行う場合には、労働者の入れ替えや労働組合の意見聴取を義務付けるなど、一定の歯止めの規定が置かれている。
 しかし、労働者派遣法改正案が成立すると、企業における派遣労働の固定化がすすむうえ、労働組合が反対しても派遣の継続ができるなど、雇用の常用代替防止の理念は事実上放棄されることになる。
 企業の需要を中心とした雇用の多様化をはかるあまり、国民の多くを占める労働者全体の生存権、幸福追求権、平等権を侵害するような施策が進むことは許されない。
 平成24年の労働契約法改正において、期間の定めの有無にかかわらず、労働条件の均等待遇を行うよう定める規定(同法20条)が置かれた。労働契約法のこの理念は、派遣労働者にも適用されるものである。したがって、均等待遇の確保策導入のない今回の労働者派遣法改正案は、政府のこれまでの施策にも反するものである。
 当会は、政府の提出した労働者派遣法改正案に反対するとともに、派遣労働者の雇用安定と常用代替防止の維持のための労働者派遣法改正を行うよう強く求めるものである。
                                                         以上

2014年4月12日

山梨県弁護士会
会長 
小野 正毅