ページの先頭です

山梨県弁護士会について

声明・総会決議

改めて司法修習生の給費制復活を求める会長声明

 平成25年6月26日付けの法曹養成制度検討会議(以下「検討会議」という)の「取りまとめ」を受け、同年7月16日、法曹養成制度関係閣僚会議は、「法曹養成制度改革の推進について」と題する決定(以下、「関係閣僚会議決定」という)を公表した。

 関係閣僚会議決定は、司法修習生に対する経済的支援として、貸与制を前提としたうえで、①実務修習開始時における転居費用の支給、②司法研修所通所圏外の司法修習生について希望者を全員入寮できるようにすること、③休日の法科大学院等での教育活動等の限度で修習専念義務を緩和することなどの措置を、可能な限り第67期司法修習生から実施することが期待されるとしている。

 しかし、これらの措置は、司法修習生間の不公平を是正するものであるにすぎず、経済的支援の名に値しない。とりわけ③の修習専念義務の緩和は、短期間で密度の濃い修習を遂げなければならない司法修習生の修習を阻害するものであり、修習の実をあげ、国民の権利を擁護する質の高い法曹を養成するために必要不可欠な修習専念義務を骨抜きにするおそれがある。

 そもそも司法修習制度は、三権の一翼を担う司法の分野で国民の権利擁護のために不可欠な人材を養成する法曹養成制度の根幹をなすものである。また、司法試験に合格した者に対する司法修習は、単なる研修ではなく、司法修習生が国民の権利擁護に現実かつ直接の関わりを持つ司法実務にまさに現場で関わることを内容としているのである。したがって、司法修習生への給費の負担は、本来的に国家が担うものであり、貸与制は、司法修習のこのような側面を看過した制度と言わざるを得ない。

 さらに、貸与制は、司法改革に基づく法曹人口の劇的増加に伴う就職難、OJTの機会の喪失、法科大学院の多額な学費負担とともに、法曹志願者減少の大きな要因ともなっており、多様で質の高い法曹の養成の障害となっている。

 検討会議の中間的とりまとめに対するパブリックコメント3119通中、「法曹養成課程における経済的支援」に関する意見書が2421通であった。そのうち、純粋な給費制復活意見だけで2216通と91.53%である。さらに一部給費や貸与制批判などを含めた、給費制復活を支持する方向の意見を含めると95.70%にのぼる。これに対し、貸与制を支持する方向の意見はわずか21通と全体の0.87%にすぎない。同時に、検討会議では、複数の委員から給費制を復活させるべきとの意見が出た。上記関係閣僚会議決定は、これらの国民の声を無視するものであり、国民の声を聞いたという体裁を作るためだけにパブリックコメントを募集したとの批判を免れない。

 当会は、貸与制を前提とした「取りまとめ」及びこれを是認した関係閣僚会議決定に抗議するとともに、政府が新たな検討体制においてパブリックコメントの結果を反映させて司法修習生に対する給費制を復活し、現在の法曹養成制度の問題の抜本的解決に向けた具体的な施策を速やかに実現するよう改めて強く求める。

 

過去の会長声明はこちら

                  

2013年10月12日

山梨県弁護士会
会長 
東條正人