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山梨県弁護士会について

声明・総会決議

地方消費者行政に対する国の財政支援を求める会長声明

 全国の消費生活センターに寄せられる消費者被害やトラブルに関わる苦情相談件数は、1985年までは年間10万件以下であったが、近年は年間90万件前後まで増加しており、消費者被害の予防・救済のためには、地方消費者行政の拡充が非常に重要な課題である。
 当会においては、2016年5月19日、山梨県内すべての市町村が消費生活センターを設置することを求める会長声明を発表しているところであるが、現在、山梨県内の市町村に設置されている消費生活センターは5カ所(複数の市町村による広域連携を含む。)にとどまっている。
 ところで、地方消費者行政の財政基盤は「地方消費者行政推進交付金」等の国の支援により支えられているが、同交付金の対象は2017年度までの新規事業に限定されており、継続性が確保されていない。地方自治体の一般財源は限られており、自主財源によって独自に新規事業を立ち上げ、継続していくことは容易ではない。そのため、国の財政支援なしでは、地方消費者行政の拡充を図ることは困難であり、特に消費生活センターが整備されていない市町村が多い山梨県内においては、その影響は大きいと言わざるを得ない。
 そこで、地方消費者行政の拡充を図るためには、地方消費者行政推進交付金の実施要領を改め、2018年度以降の新規事業も適用対象とすべきである。
 また、地方消費者行政が担っている業務の中には、消費生活相談情報のPIO-NET登録、重大事故情報の通知、法令違反業者への行政処分等、国と地方公共団体相互の利害に関係がある事務も少なくない。そのため、地方財政法第10条を改正し、これらを担当する地方自治体の職員等の人件費の相当割合を国が恒久的に負担することとするべきである。
 以上のとおり、当会は、地方消費者行政の重要性に鑑み、国に対して、継続的な財政支援を求めるものである。

2017年10月14日

山梨県弁護士会
会長 
堀内 寿人