Yamanashi Bar Association
今回は、刑事事件における弁護士の仕事についてお話します。
皆さんが刑事事件といわれて想像される風景は、弁護士が法廷で証人の嘘の証言を暴き、あるいは思わぬことから発見した新証拠を提出する等して、被告人とされている者の無罪を勝ち取るといったものではないでしょうか。
しかし、現実には、被告人が無罪を争うといった事件は少数にとどまり、その多くは被告人が罪を認めている事案です。
そして、被告人が罪を認めている事件においては、被告人の有罪を前提として、いかに被告人の量刑を軽くするか(特に執行猶予付きの判決を得ること)が、弁護人(弁護士)の活動の中心となります。
一言で被告人の量刑を軽くするための活動といっても、その内容は事件の性格に応じて千差万別であり、また一筋縄ではいかないケースが多く、相当の苦労を必要とするのです。
例えば、被害者が存在する事案においては、弁護人が拘留中の被告人に代わって被害者の元へ謝罪に赴き、被害弁償や示談交渉を行います。すんなりと受け入れてくれるケースは稀で、被害者の方から厳しい言葉を投げかけられ、あるいは面会すら拒絶される等、正直、自分の行ったことではないのに、こんな目に遭わなければならないのかと気分が沈むこともあります。
また、社会復帰した際の被告人を取り巻く環境が良好であることも量刑に影響しますので、住居や就職先を確保するといった活動を行うこともあります。住居については、両親が健在で、実家に居住させてもらうことの約束を取り付けられれば一安心ですが、既に両親が他界しており帰るべき実家がないようなケースでは、一から居住先を探さなければならないので相当苦労します。就職先についても、一般的には、被告人がこれまで勤務していた会社の社長さんに、有罪判決が出た後も被告人を雇い続けてもらえますかとお願いする程度のことしかできませんが、現実問題として、被告人を雇い続けてくれるケースは多くありません。
このように、刑事事件における弁護人の活動は、法廷での対決といった華々しいものばかりではなく、むしろ地道な活動がほとんどです。
本年5月からは、裁判員裁判が実施され、また 被疑者国選弁護の対象事件が拡充されて多くの事件に起訴前から国選弁護人が就任するようになりました。
今まで以上に弁護人の活動が皆さんの目に触れることとなるかと思いますが、その活動の裏側では、上記のような地道な活動をしていることをご理解いただければ幸いです。
以上